インタビュイープロフィール
第一生命保険株式会社 セールスプロモーション部 オンラインマーケティング課 三上 智貴様
第一生命保険株式会社 セールスプロモーション部 オンラインマーケティング課 松平 咲乃様
課題
▪️検討期間が長い生命保険商品の特性上、LP(ランディングページ)に訪れたユーザーの多くが資料請求前に離脱してしまう課題を抱えていた
▪️クッキーレス(💡ワインポイント解説にて後述 )環境下では従来のリターゲティング広告が機能せず、離脱ユーザーへの再アプローチが困難になっていた
▪️ LINE公式アカウントの運用にも取り組んでいたが、1メッセージごとの費用が積み上がり、コスト面で持続性に不安があった
決め手
▪️ 初期費用不要で「完全成果報酬型スキーム」(💡ワインポイント解説にて後述 )で導入でき、費用対効果が明確だったこと
▪️中長期的な視点でユーザーを階段的にナーチャリング(💡ワインポイント解説にて後述 )が可能となる点
▪️ 個々のユーザー体験に寄り添ったコミュニケーションにより、継続的な接点を築ける点
結果
▪️ シナリオ経由での資料請求獲得が安定的に積み上がり、マーケティング成果を確実に計上
▪️ ランディングページにポップアップを設置し、PDCAを回しながら改善を重ねた結果、LINE友だちの獲得数が着実に増加
▪️シナリオ配信時に各ユーザーに最適なタイミングや商品を柔軟にカスタマイズができたことで、よりユーザーとの関係性が深まり、ロイヤリティ向上に貢献
生命保険という商品は、検討から契約に至るまでに長い時間を要するため、LPに訪れたユーザーの多くが資料請求に至らず離脱してしまう。第一生命保険株式会社もまた、この業界特有の課題に直面していました。さらにクッキーレス時代の到来により、従来のリターゲティング広告では離脱ユーザーへの再アプローチが難しくなっています。 そこで新たな接点として活用が進むのがLINE公式アカウントですが、ここでも1メッセージあたりのコストが発生するため、十分な数のユーザーに継続的に情報を届けようとすると費用が膨らんでしまい、効率的な運用の妨げとなっていました。その打開策として導入されたのが、Capexが提供する「PickUp」です。PickUpは完全成果報酬型スキームを採用しているため、成果が出た分だけコストが発生します。 また、LINEとの連携により、ユーザーの属性や行動に応じて最適化されたメッセージを段階的に配信することで、中長期的なナーチャリングを効率的に実現。その結果、費用対効果の大幅な改善に加え、 継続的なリード獲得と顧客ロイヤリティの向上につながっています。
第一生命様とは、2023年9月から本格的にお取引を開始し、現在で約2年にわたってご一緒させていただいています。最初は弊社のキャラクタープラットフォームをご導入いただき、そこから幅広い部門の皆さまと継続的にコミュニケーションを重ねてきました。その取り組みの延長線上で、資料請求の強化やナーチャリング施策に関する新たなご提案として「PickUp」の導入へとつながりました。
本記事では、その導入に至る経緯や具体的な成果について第一生命保険株式会社 セールスプロモーション部 オンラインマーケティング課の三上 智貴様と松平 咲乃様に、PickUpをどのように活用し、どのような成果を上げているのか、そして導入の背景にあるリアルな課題感について伺いました。
💡 ワンポイント解説:クッキーレスとは?
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従来のWeb広告では、ユーザーの行動履歴をCookie(クッキー)という小さなデータファイルで追跡していました。しかし、プライバシー保護の観点から、Apple SafariやGoogle Chromeなどの主要ブラウザがCookieの制限を強化しています。これにより、一度サイトを離脱したユーザーに対して「あの商品、もう一度見てみませんか?」といったリターゲティング広告を配信することが困難になっています。
💡 ワンポイント解説:完全成果報酬型とは?
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従来の広告やマーケティングツールは、効果に関わらず月額固定費や初期費用が発生するのが一般的です。しかし完全成果報酬型では、実際に「資料請求」や「問い合わせ」などの具体的な成果が発生した場合のみ費用が発生します。これにより、予算を無駄にするリスクを最小限に抑え、確実にROI(投資対効果)を測定できるメリットがあります。
💡 ワンポイント解説:顧客ナーチャリングとは?
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ナーチャリング(Nurturing)とは「育成」を意味し、まだ購入に至っていない見込み客に対して継続的に価値のある情報を提供し、徐々に購買意欲を高めていく手法です。特に生命保険のような高額で検討期間の長い商品では、一度の接触で契約に至ることは稀。段階的に信頼関係を築きながら、適切なタイミングで購入へと導くプロセスが重要となります。
デジタル×リアルで描く、第一生命の新しい顧客体験戦略
──本日は貴重なお時間ありがとうございます。それではまず、自己紹介と御社の事業概要について教えていただけますか?
三上様:第一生命保険株式会社でオンラインマーケティング課に所属しております、三上と申します。
松平様:同じくオンラインマーケティング課の松平です。弊社は、保障と資産形成・承継の両面から顧客に最適な商品やサービスを提供する生命保険会社です。全国の「生涯設計デザイナー」を通じて、顧客一人ひとりに合ったライフプランをサポートしています。
──セールスプロモーション部は、どのようなミッションを担っている組織なのでしょうか?
三上様:セールスプロモーション部は2025年に新設された組織です。ミッションは「リアルとデジタルの融合によるCX(顧客体験価値)の向上」と「生産性の向上」です。具体的には、データを活用したマーケティングの推進や、オフラインとオンラインを組み合わせたクロスメディアプロモーションの展開、顧客対応力の強化などを担っています。
──その中で、現在特に注力されているテーマや課題はどのようなものですか?
三上様:私たちオンラインマーケティング課の主なミッションは「オンラインを起点としたリード創出」と「データドリブンマーケティングの遂行」です。具体的には、Web上での資料請求や保険相談に至るまでの導線設計、広告出稿のディレクション、新たなプロモーションの検証などを担当しています。特に生命保険は契約までのリードタイムが長いため、いかに離脱を防ぎ、資料請求につなげるかが大きな課題となっています。
離脱を防ぎ、顧客体験を磨く ― 保険業界のデジタルマーケティング最前線
──金融・保険業界は変化が大きい中で、特に注力している課題やチャンスについて教えてください。
三上様:生命保険はご検討からご契約に至るまでのリードタイムが非常に長い商品です。資料請求に至る前に離脱してしまうユーザーが大半を占めており、ここが大きな課題でした。また、クッキーレス 環境下ではLP流入ユーザーへのリターゲティングが難しくなり、再アプローチが制約される点も悩みのひとつです。
──そうした課題に対して、UXの観点からどのような広告施策を展開されていますか?
三上様:広告から資料請求に至る導線を最適化することを基本に取り組んでいます。広告クリエイティブやLPの改善、フォーム最適化などを通じ、UI/UXを向上させるべくPDCAを回しています。
──広告施策は縦割りで担当が分かれるケースもありますが、御社の場合はいかがでしょうか?
三上様:当社のセールスプロモーション部は新設された組織で、部全体で施策を考えています。オフラインのプロモーション部門も統合されており、課をまたいでフレキシブルに取り組めるのが強みです。リード創出という共通の目的に向け、複数のチャネルを横断的に活用しています。
課題の先に見えた答え ― PickUpとの出会いが変えた第一生命の顧客戦略
──PickUp導入前には、どのような課題があったのでしょうか?
三上様:生命保険は契約までの検討期間が長いため、ランディングページを訪れても資料請求まで進まずに離脱してしまうユーザーが多くいました。そこで従来はリターゲティング広告で再アプローチしていましたが、クッキーレス環境の広がりにより十分な効果を得られなくなっていました。さらに、LINE公式アカウントを活用した配信も行っていましたが、1メッセージごとにコストがかかるため、長期的な運用には課題が残っていました。
──そんな中でPickUpを導入し、実際に使ってみてどう感じられましたか?
三上様:PickUpを導入したことで、ユーザーごとに最適化されたシナリオ配信が可能となり、中長期的な関係構築を実現できるようになりました。さらに、完全成果報酬型の仕組みにより、初期費用をかけずに安心して導入できた点も大きな魅力です。費用面でも、LINEの通常配信が1メッセージごとにコストが発生するのに対し、PickUpは成果に応じた費用だけで運用できるため、効率的な投資が可能です。こうした点が、導入を決める大きな後押しとなりました。
松平様:現状は一律のシナリオ配信ですが、今後はユーザーの流入元や関心に応じた最適化に取り組み、さらに効果を高めていきたいと考えています。
──導入後の効果について教えてください。
三上様:LPに設置したポップアップ施策により、LINE友だちの獲得数は着実に増加しました。さらに、シナリオ配信を経由した資料請求も安定して積み上がっています。加えて、ここのユーザーに合ったシナリオを通じた継続的なコミュニケーションにより、ユーザーのロイヤリティも少しずつ高まっている実感があります。
長い検討期間を価値に変える──第一生命の顧客体験イノベーション
──今後、Capexに期待されることや、取り組んでみたい新しい施策について教えてください。
三上様:LINEのリターゲティング配信をはじめ、ユーザーにとって邪魔にならないUXをどう実現するかが重要だと考えています。LPの離脱ポイントや回遊状況をヒートマップやGAで把握し、最適なタイミングでポップアップを出せるようPDCAを回していきたいです。また、流入元やユーザー属性ごとにシナリオを切り分け、早期に刈り取る層と中長期でナーチャリングすべき層を明確にすることも目指しています。
──ユーザー体験の設計において、特に重視している要素は何でしょうか?
三上様:一番大事にしているのは「ユーザーにとって邪魔にならないこと」です。スクロール中に唐突にポップアップが出てしまうと離脱につながる恐れがあります。ですから、離脱しそうなタイミングや理解が止まっているポイントを見極めて表示するなど、UXを損なわない仕組みづくりを重視しています。
──将来的には、どのような顧客接点を目指していきたいとお考えですか?
三上様:今後は流入元や広告の内容に応じてシナリオを切り分け、よりOne to Oneに近いコミュニケーションを実現していきたいです。また、資料請求だけでなく「相談したい」といったニーズを持つユーザーに応えられるチャットボットや、LINE上で生涯設計デザイナーと直接つながれる仕組みなども将来的には検討したいと思っています。
松平様:同感です。流入経路や興味関心に応じてきめ細やかなコミュニケーションを行うことで、当社へのロイヤリティをさらに高めていければと思います。
──コンテンツ展開の方向性については、どのようにお考えですか?
三上様:商品訴求だけではなく、シーズナリティや暮らしに役立つ情報など、多様なコンテンツを充実させていくべきだと考えています。一方的に「資料請求してください」と迫るのではなく、ユーザーにとって有益な情報を提供することで、ロイヤリティを育む方向にシフトしていきたいです。
──最後に、将来に向けた全体的な展望をお聞かせください。
三上様:ユーザー属性や流入元ごとに解像度を高め、最適化されたナーチャリングを実現したいと思っています。コンテンツの幅を広げながら、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐことで、毎月安定したリード創出につながる仕組みを築いていきたいです。
松平様:One to Oneに近いコミュニケーションを通じて、ユーザーに寄り添う形でロイヤリティを高めていける未来を描いています。
💡 ワンポイント解説:One to Oneマーケティング
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One to Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりの属性、行動履歴、興味関心に基づいて個別最適化されたコミュニケーションを行う手法です。例えば「30代女性・子育て世代・教育費に関心」の方には学資保険の情報を、「50代男性・管理職・退職後の生活に関心」の方には個人年金の情報を配信するなど、まさに「一人ひとりに寄り添った」マーケティングを実現します。
──今回の取り組みを出発点に、今後も第一生命様と共に新しい顧客体験を創り続けていければと考えています。本日は貴重なお話しをありがとうございました。
Capexでは、今後もお客様の事例をご紹介してまいります。その他のインタビュー記事もぜひご覧ください。
